循環する社会を創る
未来を変える選択肢
貧しく奪い合う未来。育て、分け与え合う未来。 今ならまだ選択肢が残されている。
迫り来るタンパク質クライシスと地球温暖化
世界人口の将来推計
世界全体の食料需要量の変化(所得階層別)
世界全体の食料需要量
タンパク質の重要性
人体の約60%は水分、15~20%はタンパク質でできている。
タンパク質は、私たちの体の水分を除いた重量の約半分を締める、筋肉や骨、臓器、皮膚、血液等、人体を構成する最も重要な栄養素のひとつである。
我々のカラダは60兆もの細胞から成り立っているが、日々億単位以上の細胞が新たに生まれ変わりながら生命を維持している。
人は体内でタンパク質を生成も蓄積もできないため、これらの細胞の主要構成要素となるタンパク質は常に外部から一定量を補給しなければならない。
例えば体重が50kgであれば50gとなる。現在の世界の人口を70億人として、1人当たりの平均体重を50kgと
仮定した場合、年間約1.3億トン(1日あたり36万トン)のタンパク質の供給が最低でも必要な計算となる。
1kgの食用肉の為に失われていく資源
その最も重大な要因のひとつが飼料となる穀物生産の問題だ。
一般的な畜産では、1kgの食肉を生産するために牛肉で11kg、豚肉で7kg、鶏肉で4kgの穀物が必要とされるが、穀物を生産する耕地面積や単位あたり収穫量は、近年ほとんど伸びていない。
その原因は、農地の土壌流出や養分不足等の土壌劣化や、気候変動の影響で気象条件が変化して生産量の現象など、今後も生産量の飛躍的な増加は見込めない。
また、穀物生産には膨大な水が必要となることも大きな問題となっている。
牛が育つまでに必要な水は同量の栄養素をもつ穀物が育つまでに必要な水の10倍と言われています。
牛肉1kgの生産には20.7tの水が必要となるため、結果的に畜産を増やすことは水資源の減少にもつながってしまう。
そして飼料用穀物の代表格である大豆は農地の7割が飼料用に使われており、その農地を増やすために次々に森林が消失しています。
飼料変換効率の比較
生産に伴う水消費量
2030年には食用肉が食べられなくなる?!
タンパク質の需要と供給
このままの状態が続くと、いずれ人間と家畜が穀物を奪い合うことになりかねない。
すでに、世界の穀物生産量の3割は飼料用に回されており、農地の7割は放牧や飼料用穀物の生産に使われている。穀物が飼料に回れば、途上国では飢餓が増える可能性が高い。
世界でもこうした食料危機の解決に、昆虫類の活用や大豆タンパクを活用した大豆ミートなどの
肉を使わない植物性の代替肉の開発のような対策に力を注ぐ企業を目にするようになりました。
世界的に「タンパク質危機」への対策が始まっている今、私たちにも始められることがあります。
Circulating society
循環する社会を創る
地球は宇宙に浮かぶ孤島。
限りある空間における限りある食糧、エネルギー、人財、これらは有限であり、
効率的な循環なくして持続可能な社会はありえません。本プロジェクトでは、農水一体型の循環産業を構築することを目的とし、
陸上養殖にかかる問題を解決するとともに海面での養殖産業を農業に隣接した陸上産業へと転換し、
無駄と飢餓のない社会を実現することを目指します。
NAICeは琉球大学をはじめ複数の企業と資源環境がもたらすサステイナブルな共生社会の実現に向けて
「共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)」に取り組んでいます。
「育成型」では、沖縄を資源循環のモデルとして捉え、産学官が共創しつつ農水一体型の循環産業の構築を実証し、
「本格型」ではこの実証モデルで構築した共創システムを様々な資源(エネルギーや人財)循環を巻き込みながら展開しています。
最終的には地球規模へと拡大、全ての生命のサイクルとの理想的な融合を実現させます。
それは、近年重視される SDGs に対してもその多くの項目を叶え、貢献する力があります。
“NAICe” business
0から資源を生む仕組み
NAICe の事業は、再生可能エネルギーを活用した環境に負荷をかけない(汚水も極力控えた)完全閉鎖循環型陸上養殖の運用手法を確立させました。
消費者にとって安心・安全なタンパク質を世界中に届ける仕組みを作り、
生物学的、工学的な研究開発に留まらず、経済的な観点も視野に入れた流通手段、販売網の構築を実現。
本研究が進む事で将来的に沖縄から発信されるビジネスが世界中で展開され、奪うだけの生産環境にメスを入れ、
生み出し 与え合う豊かな生産サイクルが根付いていくことを目的としています。
その廃棄、
本当にゴミですか?
私たちには「見落としている資源」があるのではないでしょうか。
養殖にも餌となる穀物などの飼料は必要です。例えば、茹ですぎてしまった「うどん」や、
果汁を搾り取ってしまった果物。
美食を極める社会からは外れてしまった
栄養たっぷりの生産にこだわったかつての食材達。
“NAICe “では捨てられてしまう資源を効率よく飼料として生まれ変わらせる
技術を開発、推進しています
「荒地を使う」
という発想。
単独で機能するという強み。
限られた空間の中での エネルギー収支ゼロを達成する技術基盤を土台とし、
自然エネルギーへの転換、効率性を極限まで高めることによりクリーンなエネルギーを享受できる環境を構築する。
太陽光より電源を調達し、水を循環させ、その上に生態系を確立する陸上養殖。
それは、いわば場所を問わない海です。
多くの農地開発のために失われていった木々達、後に残った広大な干ばつ地に新たな生命が生まれるとしたら、それはどんなに飢えた多くの人々の力になるでしょうか。
何も、実らなくなった土地を肥やし、こうして枯れた地に産業をもたらすことは、人々の輪を広げ、また、人の集まる所に新たな雇用を生むことへ繋がっていきます。
To the world
独自の技術を世界へ。
NAICeは再生可能エネルギーを活用した養殖を行う技術開発だけに止まらず、ここ中城村を起点に 流通に関しても世界に発信していく 計画をしています。 Made in Nakagusuku, Produced by Nakagusuku をテーマとし、中国はもちろんの事、シンガポールやマレーシア、フィリピン、 発展が著しいインドネシアなどに安定的な流通網や販路を開拓。 すでに、インドネシアで54ヘクタール、フィリピンは14ヘクタールの養殖場開発がスタートしています。 海外にもNAICeで培ったノウハウを投入し継続して積極的に実験を行うことで、 実験の成果が出始めれば、 世界中からここ中城に各国の学生や漁業関係者や企業家が学びに集結し、 世界の様々な情報が集ることで、相乗効果が生まれます。 近い将来、琉球大学や地元の企業や 小さな会社達が、世界とタイアップし、学術研究の場が広がったり、 新規事業や海外進出に役立つ場になるかもしれません。Becomes a farm
陸上養殖場ができるまで。
持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています。
NICeは持続可能な開発目標(SDGs)を
積極的に推進しています。
エネルギーを考え、環境を考え、タンパク質の生産を考え、食の安全を考え、世界との交流を実現する。NAICeは、 SDGs の目指す取り組みに賛同、推進し、設立当初より合致する項目を一つ一つ着実に増やし続けています。
NAICeは、中城から世界に向けて具体的な成果を指し示し、SDGs が目指す目標に適格に応える一役を担って行きます。
持続可能な開発目標(SDGs)とは
SDGsとは、2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として、
2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。
17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の誰一人取り残さない(leave no one behind)ことを誓っています。
SDGsは発展途上国のみならず、先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり、日本としても積極的に取り組んでいます。 *外務省ホームページより引用
Quality management
最新技術だからできる水質管理
かつての養殖は、その水質管理を熟年の職人の勘に委ねて行っていました。しかし、近年の温暖化などによる環境の変化により長年の勘も思うように効果を出せないこともしばしば。 適切な塩分、水温管理、水質管理、細菌類の除去・・・ こう言った「安全で大きく、また味も格別!」という品質保持のためには欠かせない大切な要素の数々…。ここの攻略をなくして本当に良質な養殖はできません。 NAICeでは、これらを完全に数値化しシステムの管理下に置きました。 例えば、「塩分濃度が低ければこの分量の塩分を投入する」このような正常値への調整も丸ごと機械に委ねることで、まさに今、養殖の全ては手の平の上で管理することが可能になったのです。「養殖は避ける」時代は終わりました。
きちんと「選ぶ」が正解なんです。
未だ水産物に対し“天然は養殖に勝る” という考えが根強い日本。
しかしそれに反し、タンパク質需要の高まる中、
天然の水産資源がどんどん減少している近年では、世界の「養殖魚需要」やその評価は上昇の傾向にあります。
畜産業ではそもそも野生の牛や豚、鳥がもてはやされる事はありませんので、
“人が手塩をかけて栄養管理された肉”の美味しさや魅力については自身の食卓を持って実感している方も多い事でしょう。
環境問題が深刻化する現代では「どんな環境で何を食べて育ったのか」は意識して目を向けるべき課題でもあります。
地方の特産品を活かした “フルーツ魚” などのブランディングといった、美味しさや栄養価に拘った生産に力を注ぐ取り組みを耳にすることも増えてきたのではないでしょうか。
「食」のスペシャリストであるNPO法人「食といのちを守る会」代表の青木紀代美さん曰く、食べるものは「人」で選ぶのが一番だと言います。全国の生産者をその足で訪れ、
話を聞き、舌で確かめて来た青木さんが何より大切にしているのは、生産者が
「どんな想いで食材を作っているのか」。
おいしさや効能面の 品質の向上に一切妥協せず、体への影響を考慮し、なるべく自然に近い形の最低限の農薬の扱いや、
育成環境の浄化設備に余念のない、本当に「食べる人=未来を担うこどもたち」の為を想って”作品”作りをしている生産者を選ぶことは、限られた汚染の少ない天然魚をだけを食べていくという選択肢にも勝るというのです。
品質を完全管理された食材の魅力
3つ星レストランの秘密兵器
養殖は、稚魚から出荷までを完全把握しプロデュース出来るという、
トレーサビリティの高さ
が魅力ですが、それに着目し始めているのは何も環境問題からだけではありません。NAICeでは、中国など国内外を含めたホテルのレストランからも定期的に御用命をいただいております。
餌として有名フードチェーンの規格外廃棄品を食べて育つ養殖魚は
良質なまかない飯を食べて育っているようなものです。
ビタミン・ミネラルを豊富に含んだ餌を与え、水中カメラで養殖魚を観察し、魚の成長具合や体調に合わせて、餌の大きさや種類・配合方法、水質までもを徹底管理された食材達は、身に健康なうま味がぎっしりとつまり、
個体差が少なく安定したおいしさを生み出せるのです。
また、養殖魚は鮮度の面で圧倒的に天然魚に勝る
という強みがあります。活きたまま市場に運ばれるか、または丁寧に活〆および血抜きをして即座に氷水で冷やして流通するため、常に最高鮮度の状態で味わうことができるのです。魚貝類は鮮度が命ですので、このポイントは決して無視できない魅力なのです。